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今に残る歌碑【第2回】浜松市浜名区・岩水寺

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賀茂真淵翁 詠

岩水の しづくの洞の つらら石

  幾つらつらの 世をか経ぬらん

宝暦一二年(一七六二)真淵六六歳。

真淵の漢学の師渡辺蒙庵の門人中瀬の国学者大城清左衛門から「岩水寺を遠江十二景の一つに詠んでもらいたい」の要請によるもののようです。
真淵は、子息真滋に「つらら石は洞窟などの雫の千載を経て凝たるが石の如くなれる也 薬になりぬ」と書いています。

歌意は、「岩水の雫(しずく)によって出来た鍾乳石は、いく世を連々(つらつら)と経てきたであろうか」
格助詞“の”連続は、滴り落ちる雫のリズムを醸し出し、更に“つらら石”“幾つらつらの世”へと続く言葉の連なりが音の調子の良さを生み出し、鍾乳石のイメージと言葉が響きあって、年月の永さが思い描かれていくという巧みな構成といえよう。と評されています。

 

岩水寺と鍾乳洞

浜松市浜北区の岩水寺は行基菩薩開創(七二五年)の真言宗の大寺。家を守る岩水寺と言われ子安地蔵尊をまつっています。境内を道なりに進むと奥の院本殿(六角堂)。朱塗りの橋を渡ると天竜石の真淵の歌碑。その横が鍾乳洞。昭和四九年の七夕豪雨で崩壊したが、諏訪湖に通ずると言われた観光名所です。

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【岩水寺】

住所:〒434-0016 静岡県浜松市浜名区根堅2238

2024/07/12 今に残る近郊歌碑   bestscore